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やる夫系AA研究・第四回 「やる夫vs長編板十番勝負 後編」

やる夫スレ考察の第四回目です。(第一回第二回第三回

今回は前回の続きで、やる夫スレと長編板の比較、後編です。

続き



*得意ジャンルについて
-やる夫  :Howto、歴史、恋愛
-長編板 :ファンタジー、バトル、シュール

もちろんどちらのスレにもこれ以外にも幅広く色々な内容の作品があるのですが、
特に好んで作られていると感じるジャンルを3つずつ選んでみました。

Howto物はやる夫スレの始まりとなったジャンルのため、今でも根強い人気があります。
読み手に何かを伝えたり教えたりするという風に目的もはっきりしているので、
他のジャンルに比べると多少は話が作りやすいという利点もあるようです。
歴史物はやる夫スレの中の一大ジャンルと言えるでしょう。
大量の資料や史実を調べることが必要だったり、それを今度は物語として面白く描かなければ
ならないという点では、元々歴史が好きな人以外にはちょっと敷居が高いジャンルなのですが、
そうした人達が描き手として集まったのか、これまでに数々の名作が生み出されています。
そして、やる夫スレの中でも特に活発なのが18禁作品を含む恋愛物です。
たとえ恋愛がメインテーマではない作品でもエピソードとして恋愛絡みが出てくる作品は、
やる夫スレにおいて枚挙に暇がありません。

対する長編板ですが、まずは異世界が舞台のファンタジー物です。
主な登場人物が猫耳の生えたAAキャラが多いためか、現代物よりもキャラクターがマッチするのと、
ファンタジー=ある程度なんでもありの世界観なので、独自の物語を組み立てやすいというのがあるようです。
バトル物は戦いという要素が物語を盛り上げるのに使いやすいというのと、
動きがあったり、迫力のあるAAを描くのが楽しいという、AA作成面での楽しみもあるからです。
シュール系はいわゆる虐系も含むという意味で選んでみました。

この6つの中で、特に注目したいのは「恋愛物」です。
長編板は、なぜか恋愛物が少ないと昔から言われています。
実際少ないのですが、反対にやる夫スレではこれが盛んです。
この差は、長編板で主に使用される三頭身AAキャラでの恋愛物表現がちょっと苦しいのに対し、
版権キャラの美少女AAはこれが表現しやすく、作者本人も「○○は俺の嫁」ということで、
恋愛物を描くことを純粋に楽しめるからではないかと考察しました。



*間口について
-やる夫  :やや広い
-長編板 :やや狭い

AA初心者が物語を作成するのに、やる夫スレと長編板のどちらがとっつきやすいかというと、
これはやはりやる夫ではないかと思います。
理由としては、AAを自分で描く必要がほぼ無い上、AAの使いまわしは当たり前、
さらにAAのズレなどもほとんど問題にされないというのがその理由です。
長編板も本来はコピペの使いまわしでも良いはずなのですが、現実問題として、
なんとなくそれではつまらないという空気がどうしてもあるようです。
さらに、ズレがあるとギャラリーから厳しいレスを付けられてしまうこともしばしばです。

もちろん、やる夫スレも作品を描くためにはキャラクターの性格や口癖を掴んだり、
配役を考えたり、必要なAAを探して集めて来なければならないという前準備は必要です。
けれど、AAをすべて自作する前提の長編板に比べると、やはり気楽さという意味では
やる夫スレの方が間口が広いのではないかと思われます。



*投下間隔について
-やる夫  :短め
-長編板 :長め

これは上記項目にも関連するのですが、連載をした場合、AAをすべて描き起こさなければ
ならないことが多い長編板は、どうしても投下間隔は長めになりがちです。
中には次の話の投下まで一年以上も間が空くことすらあったりします。
対してやる夫スレは連載の投下間隔は長くとも二週間~一ヶ月程度で、
毎日投下というスレも決して珍しいことではありません。

どちらのスレもこの感覚にギャラリーが慣れてしまっているため、長編板の場合は
辛抱強く待ってくれるギャラリーが多く、また逆に投下間隔の短いスレはそれだけで話題になります。
逆にやる夫スレはあまり間が空いてしまうと、もちろん待ってくれるギャラリーもいますが、
もう続きは来ないものと決め付けられてしまうことも多いようです。



*ギャラリーのレスについて
-やる夫  :割り込んでの途中突っ込み当たり前
-長編板 :割り込みダメ、絶対

やる夫スレでは作品投下中でもギャラリーがお構い無しに作品に対する突っ込みのレスを付けます。
むしろそれが当たり前であり、作者自身もレスが付くのを楽しんでいるというところがあります。
対して長編板では作品投下中のギャラリーの割り込みレスはご法度です。
レスを付けるのは作品投下がすべて終了してからというのが常識です。

これはやる夫スレと長編板の違いの中でも、かなり大きな物ではないかと思われます。
ただし、いくらやる夫スレでもどんなレスでも許されるというわけではなく、
作品投下中のギャラリー同士の議論や喧嘩、ネタAA貼りは普通に嫌がられます。
それと、当たり前ですが他スレ作品の宣伝や比較、原作物の場合のネタばらし、
展開予想等はいくらやる夫スレであってもタブーです。



*保管庫について
-やる夫  :ブログ形式がメイン
-長編板 :サイト形式がメイン

長編板の保管庫はブログが盛んになる前からあったせいか、現在でもサイト形式がメインです。
それに対してやる夫スレの保管庫はブログで運営されているところが主です。

これはどちらが良い悪いというのはまったくありませんが、やる夫スレの保管庫は
たまに設定が2chのAA標準環境になっていないところがあります。
しかし、閲覧者もそれを大して気にしていないようなので、ほとんど問題ないでしょう。
ブログでの運営は、HTMLの知識やサーバーを探す手間の必要が無いというのも魅力的です。
ただ、作品を探すのに少しわかりにくいことがあるため、その点では最初から保管庫として作られている
長編板のサイト形式の方が親切と言えるかもしれません。




やっとなんとか十本終わりました。
こうして比べてみると、やる夫スレというのはとにかくまず文章ありきで、
AAというのはあくまでもそれを飾って引き立てるための挿絵的役目なのに対し、
長編板の場合はストーリーはもちろん、コマごとのAAの完成度も求められる物だと…
ってこれって結局、第二回で書いた、やる夫スレはゲーム的であり、それに対して
長編板は漫画的であるという結論を引っ張っただけですねw

やる夫スレと長編板、どちらのスレにもそれぞれに個性と魅力、
そして空気とお約束があるということをあらかじめ知っておくということは、
描き手になるにしろ、読み手になるにしろ、無駄ではないと思います。

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