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やる夫系AA研究・第三回 「やる夫vs長編板十番勝負 前編」

やる夫スレ考察の第三回目です。(第一回第二回

今回は前回予告したとおり、やる夫スレと長編スレの比較をしたいと思います。
タイトルはなぜか「勝負」となっていますが、別に勝ち負けや優劣を決める内容の
エントリではありませんので、それを期待した人はすみませんw

あと、調子に乗ってあれこれ違いを考えていたら、妙に長いエントリになってしまったため、
各五本ずつの前後編に分けさせていただきます。

続き



スレ形式について

  • やる夫  :ほぼ個人スレ
  • 長編板 :個人スレが多い傾向があるが、それ以外の参加型もある

最近は長編板も個人スレが多くなりましたが、今も参加型形式のスレはそれなりにあります。
しかし、やる夫系のスレというのはどれもほぼ個人スレです。
複数の描き手を集めてスレを進めていく参加型形式というのはまずありません。
ただ、話の途中でギャラリーに意見を聞いて登場人物の次の行動を決めるなどの、
長編板ではまず見られないタイプのギャラリー参加型形式のスレというのはあります。
あとは長編板にもある、主に短編投下に使用されるオムニバス形式のスレというのもあります。
なお、スレの形式についての詳しい解説はこちらのエントリ(AA板の4つのスレ形式について)をお読みください。

これは、AA板の前提が描き手同士のコミュニケーション手段から始まっているのに対し、
やる夫系はあくまでも個人作品の発表手段であるという所から来た違いではないかと思われます。



発表場所について

  • やる夫  :2ch外の板が使われることが多い
  • 長編板 :2chの長編板中心

長編板は当然2chのAAカテゴリである「AA長編板」での発表がメインです。
その他の外部板もあるにはあるのですが、人が少ないのと、特定個人が管理人をやっている板に
描き込むのはなんとなく抵抗があるという人も多く、あくまでも長編板のサブ的ポジションにすぎません。
また、当然ですが長編板は板環境も、ある程度は長編AAの連載や投下がしやすくなっています。
それとは対照的に、やる夫スレは2ch内のVIP本板ではなく、2ch外の個人板での発表がメインです。
これは第一回でも触れましたが、AAの連載をするにはVIPの環境や慣習が合わないためです。

そもそもAA長編板というのは2chの板の中ではマイナーな方なので、住人もそれほどは多くありません。
そんな長編板関連の個人板は、長編板より更に人が少なくても当然のことです。
しかし、住人数や書き込み数が常に2chTOPを独走している本家VIP板の空気は、
その関連個人板にも十分波及しているようです。



AAについて

  • やる夫  :コピペ+多少の改変
  • 長編板 :基本描き下ろし

第二回でも少々書きましたが、やる夫スレで使用されるAAというのは基本的に
第三者が発表した物をそのまま使用するか、多少の改変を加えた物です。
それに対して長編板のAAはほぼ作者本人の描き下ろしです。
もちろん背景AAをコピペして使用したり、AAキャラの基本的な動作テンプレというのは存在しますが、
それでは補えない動作や拡大AAというのは作者が自分で描くしかありません。
己の表現したいことをAAで表すためには、そういう試行錯誤をすることも必要というのが
長編板における常識です。

AAというのは創作物には珍しいコピペOKな文化です。
やる夫スレはそれを十分に活かしていると言えるでしょう。
長編板の場合はそのような使いまわしが出来ない分、作品を一本完成させるのは
大変なことが多いですが、しかし作者本人が創意工夫し、自ら描き起こす必要があったからこそ、
AAの様々な新しい表現方法が生まれてきたのだと言えると思います。



AAキャラについて

  • やる夫  :既存AAキャラ+版権キャラ
  • 長編板 :既存AAキャラ+オリジナルキャラ

やる夫スレの既存AAキャラというのは、やる夫ややらない夫のような
いわゆるVIP系AAキャラのことです。
やる夫スレはこの二人を中心的キャラクターとして据え、その他の登場人物には
主にアニメキャラのAAが登場します。
長編板の既存AAキャラというのは、モナーやギコに代表されるAAキャラのことです。
長編板作品の大抵の登場人物はこれらのキャラのみで構成されますが、
中には自分で描き下ろしたオリジナルのAAキャラを使用する作者もいます。

やる夫スレの場合、AAはコピペ頼りということもあり、AAを描き下ろして作成した
オリジナルキャラが登場するということはまずありません。
それに対して長編板の場合、その話専用のオリジナルキャラを使用するというのは、
さほど珍しいことではありません。
中にはオリジナルキャラだったのが自然と他の作者も使うようになって広まり、
新しいAAキャラとして定着するというケースすらあったりします。
更にやる夫スレの場合、版権物でいくら気に入ったキャラ、使いたいキャラがあったとしても
既存AAが少ない場合、使用し難いという欠点があります。
開き直って数枚のAAのみを使いまわす作者もいるようですが、これを避けるためにどうしても
元々既存のAA数が多いキャラが採用される傾向があり、どの作品も登場キャラが
似たり寄ったりになってしまって新鮮味に欠けるという問題が出ているようです。



キャラクター設定について

  • やる夫  :ある程度の縛り有り
  • 長編板 :完全に作者の自由

上記項目で書いたとおり、やる夫スレの登場人物というのは既存AAキャラと版権キャラで構成されます。
版権キャラというのは当然、元々は別の商業作品に出ているキャラクターですので、
性格や口調をそれに準じた物にしないと、読み手に違和感を与えてしまいます。
既存AAキャラの方も、版権キャラほどではありませんが、お約束の性格や口調というのがあり、
それを大胆に変える場合はよほど上手く描かないとギャラリーから辛辣なレスを付けられてしまうようです。
更に版権キャラは配役を決める際も、その性格に縛られる傾向があります。
たとえば、元々の作品内で気の強いタイプのキャラの場合、やる夫スレの作品中でも気の強いタイプの
キャラとして使用しないと、「もっと別に合うキャラがいるのに、なんでこのキャラなの?」等と、
ギャラリーから言われてしまうことがしばしばあります。
もちろん、ギャップを狙ってあえてまったく違うタイプのキャラを配置する作者もいますが、
よほど上手く描く自信があるか、確信を持って使用する人以外は普通に避けるようです。
対して長編板の場合、オリジナルキャラは当然、既存AAキャラでも、性格も口調も完全に作者の自由です。
モナーやギコ等のAAキャラにもある程度の基本イメージというのが存在することはするのですが、
これを大きく変更してしまってもほとんど問題ありません。
しぃを純情で気弱な少女として描こうが、気が強い大人の悪女として描こうが、それに対して
違和感を唱えるギャラリーというのはまずいないでしょう。

長編板ではAAキャラというのはあくまでも素体であり、ギャラリー側がAAキャラの元々の
性格などの情報を知っているかどうかを考慮する必要は一切ありません。
しかしやる夫スレの場合、版権キャラを使用している手前、どうしてもギャラリーがみな、
キャラ本来の根強いイメージというのを既に持っており、それを崩すのは至難の業です。
また、そのキャラのことを元々知らない人が作品を見た場合、知っている人と比べたら、
作品に対する理解度や楽しみに多少の差が出る可能性というのもあります。
これは、やる夫スレというのは版権キャラを使った二次創作的面があるためです。
更に、やる夫スレ作者自身が二次創作前提でそれを楽しんでいるという側面もあるので、
やる夫スレとは基本そういうジャンルであると最初から考えておいた方がいいでしょう。
それに二次創作なだけに、作品内で各キャラの掘り下げをそれほどしなくても、
ギャラリーが勝手に脳内補完してくれるという利点もあったりします。
逆に言えばそれが通用しない長編板は、各キャラの掘り下げをしっかりやらないと
いわゆる「キャラが立っていない」という状態になってしまいがちです。




ということで、残りの五本は次回エントリに続きます。

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